Saturday, October 28, 2006

夜遊び

今日は特別な日。夜、保育園の友だちのお母さんが経営するバーで、クラスほぼ全員参加で、親子の飲み会を開催。よる遊ぶのがとても好きなすみれ組の子どもたち。やっぱり、今日はテンション高すぎです。ちょっと遅れてバーに到着すると耳を押さえたくなるほどわぁわぁ興奮してハードに遊んでいる。

子どもは子ども同士で遊んでくれてるので、親たちは飲むことに専念。お酒が入ると舌がゆるんで、普段では出てこない話はどんどん出てくるし、無口だったあの人が大声でしゃべっているし、だんだん下品になっていくしみんな面白い。もともと、すみれ組の親達はとても気さくで、仲のいいグループなのだ。下町ということもあるんだろう、気取った態度は相手にされないし、あたたかいのだ。

サムも普段はこういう集まりには参加しないのに、バーとなると喜んでついてきた。いっぱいお話もしてとっても良い日本語の勉強になったようだ。「自分は家では料理もするし、洗濯なんて妻はぜんぜんしてくれない!だから全部自分がやるんだ!」と自慢していたらしい。

親たちはすっかりいい感じに酔って、子どもたちに「飲み過ぎ〜」と、あきれられていた。これは、翌日に響きそう。

Friday, October 13, 2006

なに言ってるのか、わからない

帰国してioを連れて久々に近所の公園に行くと、友だちのちかちゃんがあそんでいた。ioは大喜び、「ちかちゃ〜ん!」と叫んで走って行くと、ちかちゃんも「ioちゃ〜ん!」と喜んで寄ってきた。
ioがちかちゃんに「いっしょにあそぼ!」と言うとちかちゃんは「いいよ!」と返事をしてくれたのだが、ちかちゃんは幼稚園からのともだちと既に遊んでいたのだ。

その友達はioを見て、
「その子、どこの子?」と聞く。
ちかちゃん「お友達。」
ともだち「日本語話せるの?」
ちかちゃん「話せるよ!」
io「話せるよ!」
ともだち「なに言ってるのか、わからな〜い!」

私「日本語できるんだよ。一緒にあそばない?」
その子「日本人じゃないから、わからない」

ますますioはへこんだ表情をしているし、そこで私も諦めるべきなのだろうけど、どうしてもその子の言っていることを確かめたかった。たったの6歳で、もうこんなに狭くてカタイあたまだなんて。
「この子、日本人なんだよ。だけど、君は日本人じゃない子とは遊ばないの?」
「遊ばないよ。だってなに言ってるのか、わかんないもん」

私。思わず「ふ〜ん。つまんないの」と言ってしまった。
近くにいた親たちは私の言葉におどろいた様子だった。

Sunday, October 01, 2006

シドニーとSkistとAriel Pink

ニューキャッスルからシドニーまではCityRailに乗って2時間45分ぐらい。時間的には東京から京都ぐらいだけれど、この列車はスピードがゆっくりめなので感触はまったくちがう。きれいな湖畔の水際や森を抜けたり、ヘンなかっこうの植物がたくさん生えている自然保護地区も通ったりして、エンタテインメント性の高い列車の旅だ。

今日はシドニーでライヴ。列車の中から携帯で今夜のベビーシッターの手配をする。今回はこのサービスに頼ると思う。来る前は、寝袋をライブ会場へ持って行って、そこでioを寝かせて....なんて考えていたんだが、ロッククラブ中心のこのツアーじゃ、寝かせる場所もそもそもないし、とんでもない難聴になって帰国することになってしまう。しょうがない、ツアー全体が赤字になってしまうが、ベビーシッターに世話になろうと決めた。私たちもその方が安心して演奏に集中できる。

シドニーの駅について、タクシーを探した。タクシー乗り場はどこだろうね、とサムと話し合っていると親切に通りかかった人が「そこを出てすぐ左だよ」と教えてくれた。オーストラリアではこんなのがいつも。分からない事を声に出すと、必ず誰かが助けてくれる。

ホテルはゲイの人たちの地区のド真ん中。これは安心。夜も賑やかだし、危ない事は少ないはず。しかも、今夜出演するライブハウスから歩いて300メートルほど。

あらかじめ今夜のライヴハウスのSpectrumへ電話して、サウンドチェックの時間を確かめる。しかし、今日はヘッドライナーのAriel Pinkが目一杯リハーサルをするので、サウンドチェックはできないかもしれない、と言われる。またか。しかも、ニューキャッスルのときと同じAriel Pinkのせいだ。むかつく。とにかく、ライブハウス側ではどうにもできないので、直接本人に交渉するように言われた。しょうがない。

サムがお昼ご飯にファラフェルを買ってきてくれて、そのあと、ioも一緒に連れてライブハウスの様子を見にでかけた。着いたらArielのメンバーたちはなんだかのんびりしているし、Ariel本人はどこにもいない。そうか、まだこれからセッティングしてチェックするんだったら、私たちのチェックは今日もないだろうなと覚悟。

ところが、PAの人に聞いてみると、どうやら彼らはチェックが終わって、Arielはすでに取材に出かけたらしい。じゃぁサウンドチェックできる?と聞いたら「ああ、いいよ」と言ってくれた。うれしい。ここは音がいいし、PAの人も巧い。ボーカルマイクは私の一番気に入っているBeta57を使っている。チェックもスムースに行ったので、今日は上手く行きそうな予感。ioはサウンドチェック中、ずっと私のとなりに立って、仕事をする振りをして遊んでいた。

夜、ライブの前にラジオのインタービューを受けて、その後再びSpectrumへ向った。最初の出演者はAlexという男の子のボイス・ソロ。ステージ上に這いつくばって、ジーンズは半分ズレ落ちてきている。ディレイで自分がランダムに言う言葉をループさせ、いろんな言葉を重ねていって、それぞれ関連のない言葉から妙な意味が浮かび上がってくる。面白かった。終わったあと、彼にそういうと、「あら、そう?ぼく日本にこの間行ったわよ。円盤ってところでライブした。」そう、円盤はいいところよね、みんな喜んでいたでしょう、と答えると「う〜ん、ぼくに取っていい経験じゃなかった。だって、ぼくのパフォーマンスを見て、みんな笑ってたの。どうしてかな」と言うので、私はできるだけ正直に答えた。そう、それは残念だったね。でも、あなたの面白さは言葉の意味が解らないと通じないかも。だから、あなたのパフォーマンスのスタイルだけ見て、日本の人はそれをユーモラスだと思ったのかもね。あとね、日本人って意外とすぐ笑うわね、確かに。私もそのへんはよく理解できないし、時々腹が立つこともあるの。

私がそう話しても納得はできないようだった。わかるような気がした。

次のバンドは若い、とてもロックなKioskというギャルバン。楽しかったけれど、別に新しさはないので、聞き流した。

次が私たち。一昨日のことがあったので、今日はどうしてもいいライヴをしたかった。で、とてもいいライブだったと思うけど、客がしゃべっていて、うるさい!サムはそれが気になったようだ。私は慣れているので気にしていなかったけれど、サム的にはオーディエンスにしっかり聴いてもらえないと満足なパフォーマンスにはならないそうだ。私は逆に、何人か聴いてくれていて、サウンドがよければそれでよしなのだが。今夜も、後から「最高、こんなにいいライブ何年ぶり」って言ってくれた人がいたのでそれで大満足だった。私をNicoに比較していたのはよく理解できないが。Arielも、凄く良かったよ、と言ってくれて、嬉しかった。

最後が例の、Ariel Pink。これが、素晴らしい。ニューキャッスルでリハを見たときはぜんぜん関心しなかったんだけれど、今夜はとてもいいライブをしてくれた。彼の曲は、例えばデビッド・ボゥイとかT-Rexなどグラムロックの王道ポップロックの感性にその後のロック史のあらゆる要素をプラスして、解体したもの、という感じ。その解体の仕方も、ローファイのようにいい加減なものではまったくなく、非常に精密でタイトで構築された美しい、アシメトリカルなもの。とにかく楽しい、Ariel Pinkの曲も、ライブも。みんなに聴いてもらいたい。