Sunday, January 21, 2007

親友

ioには親友と言える女の子が一人いる。同じ保育園に通っているエナで、お父さんが外国人、お母さんが日本人の子だ。そういう事情はioと同じ。もちろん、お互い深く理解し合っていてシンパシーを感じるのはこのシチュエーションが大きく関係しているのかもしれない。自分たちは、ちょっと周りの子とはちがう。それを認識しはじめたのは結構早く、3歳頃だったように思う。

でも、親友である理由はそれだけではないだろう。それよりも、なによりも、エナが私が知っているどの子よりも優しい女の子だからだと思う。ioはエナの家に行って遊ぶのが大好きで、週末や保育園の帰りによく遊びに行っていた。

そのエナが去年の夏からお父さんの国のイランに行っていて、なかなか戻ってこない。秋に帰国する予定だったが、予定を延ばして12月に帰国すると言っていたが、12月が過ぎても戻らない。遂に先日、お父さんだけが一人で戻って来て、家族でしばらくイランに暮らすことにした、と話してくれた。

いろいろ話題となっているイラン。奇麗な顔だちのエナを見て、お父さんどこの人?と聞かれてイラン人です、と答えると顔色が変わる人も多いらしい。イランでは今でも子供は子供らしくいられる国みたいだ。のんびりしていて、犯罪も少なく安全で、自然も豊か。拡大家族が子育てを支えてくれるし、子供は比較的ストレスなく生きて行ける。イランは国際社会の中で睨まれているけれど、中身は平和なんだ。

ioはエナと一緒に小学校に行けると思っていたので、落胆している。エナは優しい心の持ち主でも、シャキッと頭のきれる子なので、ボーッとしていて時々意地悪もされるioの強力な味方でもあった。母親の私でさえ、実は頼りにしていたんだということに気づく。でも、子供の世界なんだから。家庭事情やシチュエーションが似ている者同士でなければ気のおけない本物の友だちになれないなんて、惨めな大人のような社会ではないだろう。学校でも、心の通じ合う友だちをつくってほしい。

それとも、子供も単なるサイズの小さい大人なのだろうか。日本では子供は4歳頃からもう消費者扱いだしね。同じものを買って同じテレビを見ている子でなきゃ友だちじゃない?エナは、のびのびと遊んで優しい心の大きい女の子になるんだろうな。

Monday, January 15, 2007

帰国

カナダの10日間の滞在を終え、今日帰国した。
ioとサムが駅まで迎えに来てくれていた。
私は電車で会った中国から来た人にJR線への乗り換え方を案内して出口に向うと、ioは飛び跳ねていた。こんなに喜んでもらえるってすごい。私は久しぶりに身軽になって楽しんでいたので、感動した。帰り道、ずっと私の手を握って「マミー、さびしかった」と繰り返して手にチュしてくれる。そしてひたすらしゃべり続けている。飛行機の中では一睡もせず、何も食べていないので睡魔と空腹と戦いながら一生懸命彼女の話を聞いた。話したいことが多すぎてお土産にもほとんど目もくれない。ふぅ、今の私には、エネルギーが足りません。

Thursday, January 04, 2007

バンクーバー

io が生まれてから初めて、家を何日も離れることになった。
仕事でカナダのバンクーバーとビクトリアに来ている。
寒い。とても寒い。バンクーバーは本来はカナダの中では比較的冬も温暖で雪も滅多に降らないはずなのに、今年は(今年も?)異常気象でバンクーバーは酷い目にあっているらしい。
でも、着陸した時は晴れていて日差しも温かく、気持ちのよい朝だった。イミグレーションで引っかかったけれど。私は10年以上前に、アメリカ入国管理局のコンピュータ入力ミスとしか思えない何かの手違いで、記録上ビザをオーバーステイしたことになってしまっている。もちろん、オーバーステイなどしていない。毎回、アメリカに入国する際、ひっかかってイミグレーションのこわ〜い部屋に行かされる。毎回、その憂鬱な部屋で長い列に並び、やっと順番がきてカウンターにいるオフィサーに説明をすると、ことなく通してもらえるのだが、となりの窓口では泣き崩れる子連れのお母さんとかがいたり、真っ暗な表情の青年がいたり、入るだけで重たい気持ちになるお部屋なのだ。彼らはこれからディポート(強制送還)されるんだろうか。
カナダの入管はアメリカの入管と繋がっていたのか。同じ記録がカナダのコンピュータにもあったらしい。ちょっと、怖い、それ。
とにかく、事情を説明して行かせてもらう。ふう。とっても遠くにきてしまった気にさせられる。
乗り込んだタクシーの運転手は気さくなインド人。プンジャブ出身で、もう10年以上バンクーバーに住んでいるらしい。途中、奥さんから電話がかかってきて、切ってから彼は失礼、と謝った。私は、今何語でしゃべってたの?とたずねると、プンジャブ、と答えた。いろいろ話をしていると、彼は歌をやっていて、聴かせてくれた。故郷を離れる悲しさのプンジャブの伝統的な歌を歌ってくれた。私も歌うんだよ、といって、お返しに歌った。